2.5手術方法

脳死膵臓・腎臓同時移植の場合

レシピエント(1型糖尿病患者)

腎臓は献腎移植や生体腎臓移植と同じ場所に移植します。膵臓は摘出される際に十二指腸がついたまま摘出されますのでドナーの十二指腸とレシピエントの小腸をつなぎ膵液が小腸へ流れるようにします。足へ血液を送っている血管と移植される膵臓の血管をつなぎ血液が流れるようにします。
手術時間は8~10時間程度かかります。

 

 

 

 

 

生体部分膵・腎臓の同時移植の場合

ドナー(臓器提供者)の手術は全身麻酔下でおこなわれ、左側の腎臓と膵体尾部を脾臓とともに切除します。手術時間ですが6~8時間程度かかります。
当初は大きくお腹を開いて手術を行っていましたが最近では用手補助下腹腔鏡手術(HALS)という方法を用いてドナー手術を行っています。この手術方法だと以前にくらべ傷が小さく7cm程の傷あとで済むようになっています。

 

 

 

 

レシピエント手術

レシピエント手術は左の下腹部に腎臓を移植し、右の下腹部に膵臓を移植します。
膵臓につなぐ血管は脳死膵臓移植と同じ血管を使います。膵液が膀胱に流れるよう(膀胱ドレナージ)に膵臓は膀胱に縫いつけます。手術時間は8~10時間程度です。

 

生体膵臓移植の場合

ドナー手術

生体膵・腎同時移植と同様の手術を行いますが摘出する臓器は膵臓体尾部+脾臓となります。手術時間は3時間程度となります。用手補助下腹腔鏡手術(HALS)で行いますので傷は小さく7cm程の傷あとで済むようになっています。

レシピエント手術

こちらも生体膵・腎同時移植と同様の手術を行いますが移植する臓器は膵臓体尾部のみで右の下腹部に移植します。手術時間は4~6時間です。

合併症について

ドナーの合併症(生体移植の場合)

膵液瘻

膵臓を切断した断面より膵臓から分泌される膵液がお腹のなかに漏れてしまう事を言います。お腹の中に管を入れてその膵液を体の外に出す治療を行うとほとんどの場合自然に治ります。

膵仮性のう胞

膵臓の約半分を摘出するので膵臓の断端に水のたまった袋(のう胞)が出来る事があります。自然と治ることもありますがのう胞が大きくなる場合は外科的な治療が必要となります。

糖耐糖能の低下

膵臓を約半分切除するため一般の方と比較するとどうしても糖尿病になるリスクは高くなります。それを予防する為に当院に定期的に通院していただいて体の状態をいつでも把握させていただきます。また、食事に気をつけて体重のコントロールを十分に行っていただくことで予防できます。

腎機能障害(膵腎同時移植の場合)

手術の前の検査で1つの腎臓でも十分に機能していることを確認してから手術を行っていますが、手術を行って何年後かに腎臓の機能が悪くなるという可能性は否定することはできません。そのため定期的に通院していただきます。

創感染

手術による影響で細菌を中心とした感染症を起こす可能性があります。

レシピエントの合併症(生体・脳死移植の場合)

血栓症

移植した臓器の静脈または動脈に血のかたまりである血栓ができて、移植された臓器への血液の流れが悪くなったり、途絶えてしまう場合があります。血栓が出来ると移植した臓器は摘出しなければならなくなります。

膵・膀胱吻合縫合不全(生体移植の場合)

膵液を排出する為に膵臓と膀胱を吻合(縫い合わせることを吻合と言います。)しますが、その間から膵液がお腹の中に漏れだしてしまう場合があります。再手術によって吻合し直したり、自然治癒によって治ります。

拒絶反応

移植された臓器は自分のものではないので、免疫作用が働いて移植された臓器を攻撃してやっつけようとします。これを拒絶反応といいます。それを防ぐために免疫作用を抑える薬、免疫抑制剤を一生涯飲み続ける必要があります。

感染症

移植後には、移植された臓器を守るために免疫抑制剤を服用します。その反面で、細菌やウイルスなどに抵抗する力も弱くなってしまうため、感染症にかかりやすくなります。感染症の中でも特に問題となるのがサイトメガロウイルス感染や、真菌(カビ)感染です。予防的に抗ウイルス性のお薬を服用します。肺炎などの重篤な感染症を合併すると免疫抑制剤の投与を減量もしくは中止しなければなりません。

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