3.4先進医療について

概要

平成19年3月に、膵島を分離する際に使用するコラーゲン分解酵素の製造過程でウシ由来物質が使用されていたことが判明し、我が国における臨床膵島移植の実施は中止しておりました。この度、安全なコラーゲン分解酵素製剤が入手可能となり、平成24年6月1日より、厚生労働省先進医療制度のもとで臨床試験膵島移植を再開することになりました。また、平成25年4月8日からは、心停止ドナーに加え脳死ドナーの場合においても膵島移植を実施することが可能となりました。

適応

【適格基準】

日本膵・膵島移植研究会の適応認定を受けており、かつ以下の選択基準をすべて満たし、かつ以下の除外基準のいずれかにも該当しない患者を適格として登録する。

当臨床試験に参加するためには、以下の条件全てを満たす必要がある。
1.同意取得時年齢は20歳から65歳までである。
2.本人より臨床試験参加に対して文書による同意を得ることができる。
3.当臨床試験でのプロトコールの手順に従うことができる。
4.臨床試験参加時にインスリン依存状態の期間が5年を越えて持続していること。
5.内因性インスリン分泌が枯渇している。内因性インスリン分泌枯渇の定義:basal C-peptide <0.1 ng/mlである。
6.糖尿病に対するインスリン強化療法を行っていること。インスリン強化療法とは、一週間にわたって一日平均4回より高頻度の自己血糖測定を行い、そして1日4回あるいはそれ以上のインスリン注射もしくはインスリンポンプによる治療を実施していることと定義する。そして、このインスリン強化療法は、過去12ヶ月の間に1回/月程度の割合で糖尿病専門医に評価をうけた上で調整されたものでなければならない。
7.過去12ヶ月間に重症低血糖発作が1回以上発症していること。なお、重症低血糖発作の定義は適切な血糖管理下において以下のいずれかの項目を満たすものとする:1)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつその際の血糖値が60mg/dL以下である、2)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつ炭水化物の経口摂取、ブドウ糖の血管内投与、グルカゴン投与によって速やかに回復が認められたもの。
8.Clark Score,HYPO Score, Lability Indexについてのデータを持っている。
なお、腎移植後膵島移植の場合には、腎移植医との膵島移植実施に関する協議と合意のもとで、以下の選択基準を加える。
IAK-1.腎移植後6ヶ月以上経過している。
IAK-2.クレアチニン1.8mg/dl以下で、直近6ヶ月の血清クレアチニンの上昇が0.2mg/dl以下で持続的上昇を認めない。
IAK-3. ステロイド内服量(プレドニン換算)が10mg/day以下。
1)小児に対する安全性データがないため
2)~3)臨床試験を倫理的に実施する上で必要な項目として設定した。
4)~8)本臨床試験に参加する際に適格な糖尿病患者を選択するために設定した。
IAK-1〜IAK-3 本臨床試験に参加する際に的確な腎移植後糖尿病患者を選択するために設定した。

除外基準
以下の条件のどれかに相当した場合、当臨床試験に参加することは不可能となる。
1.体重が80kgを超えている。もしくは、BMIが25kg/m2を超えている。
2.インスリン必要量が0.8IU/kg/日以上、あるいは 55U/日以上。
3.過去1年間に複数回測定したHbA1c値(JDS値)の平均値が10%以上。
4.未治療の増殖性糖尿病網膜症を有している。
5.血圧:収縮期血圧が160mmHgあるいは拡張期血圧が100mmHg超えている。
6.eGFR 60ml/min/1.73m^2以下(膵島単独移植の場合に限定する)。
7.現在、尿蛋白が1g/日以上。
8.フローサイトメトリーによるPRA (panel reactive antibody) が20%以上。
9.女性の参加者の場合:妊娠反応陽性例、現在授乳中、あるいは臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月間に効果的な避妊方法の実施を了承しない。男性参加者の場合:臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月までに挙児希望のある場合、あるいはその期間中に効果的な避妊方法の実施を了承しない。
10.以下の活動性感染症がある。
B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症、HTLV-I感染症あるいは結核を含む抗酸菌症。具体的にはキャリアを含むHBs抗原あるいはHBV-DNAの陽性者、HCV-RNA陽性者注)、HIV抗体陽性者、HTLV-I抗体陽性者。結核を含む抗酸菌症に関しては、クオンティフェロン検査が陽性の場合、あるいは胸部CTにて潜在性結核感染症(Latent tuberculosis infection: LTBI)や非定型抗酸菌症が疑われる場合、抗酸菌症を疑って薬物治療が行われている場合をもって活動性感染症とみなす。ツベルクリン反応は特に参考としない。
注)血漿HCV-RNAの測定は通常HCV抗体陽性者に対して実施される。ステロイドの長期内服時など、抗体産生が抑制されることが予想される場合には、HCV抗体の結果にかかわらず、血漿HCV-RNAを測定する。
11.Epstein-Barr Virus(EBV)に対するIgG抗体陰性。
12.臨床試験参加前1年間に浸潤性アスペルギルス感染症に罹患したことがある。
13.癌の既往をもつ。ただし、完全に切除された皮膚の扁平上皮癌あるいは基底細胞癌は除外する。
14.アルコール依存症あるいは薬物依存症を有している。
15.検査施設での正常下限を下回るヘモグロビン値;リンパ球減少症(<1,000/μL)、好中球減少症(<1,500/μL)、あるいは血小板減少症(血小板<100,000/μL)。
16.第 V 因子欠損の既往がある。
17.凝固障害があるもの、もしくは移植した後も長期にわたって抗凝固剤(ワーファリンなど)の投与が必要となる医学上の状態を有するもの(低容量のアスピリン治療の場合には許容できる)、またはプロトロンビン時間のINR(International Normalized Ratio)値が1.5を超えているもの。
18.重度の併存する心疾患を有する場合。以下のいずれかの状態:
①.最近(過去6ヶ月以内に)発症した心筋梗塞。
②過去1年以内に心機能検査において診断された虚血障害。
③左心室のejection fractionが30%未満。
19.臨床試験参加時に肝機能検査値が持続的に高値を示すもの。肝機能検査異常とは、SGOT(AST),SGPT(ALT),ALPあるいは総ビリルビン値が、正常値上限の1.5倍以上の高値が持続していること。
20.症候性胆石症を有する。
21.急性または慢性膵炎を有する。
22.症候性消化性潰瘍を有する。
23.重度の頻回な下痢、嘔吐あるいは潜在的に経口薬剤の吸収を障害する可能性のある胃腸障害を有する。
24.医学的治療に抵抗性の高脂血症 (空腹時 LDL コレステロールが 治療されてもされていなくても130mg/dLを超えている場合、かつ、もしくは空腹時の中性脂肪が200mg/dLを超えている場合)を有するもの。
25.慢性的なステロイド薬の全身投与を必要とする医学的状態に対する治療を受けている。
26.臨床試験参加の4週間以内にインスリン以外の抗糖尿病薬を投与されたもの。
27.臨床試験参加の4週間以内に何らかの臨床試験中の薬剤の投与を受けたもの。
28.臨床試験参加の2ヶ月以内に弱毒生ワクチンの接種を受けている。
29.臨床試験遂行に必要な検査のための入院、定期的な外来通院が不可能である。
30.臨床試験遂行に問題となる精神的異常を有している。
31.その他、臨床試験担当医によって臨床試験参加が不適切と判断されたもの。
除外基準1~28の設定根拠は下記のとおり。
1~3 膵島移植の適否を考慮して設定した・
4~23・27・28 安全性を考慮する項目として設定した。
24・25 有効性評価への影響を考慮して設定した。
26 安全性有用性評価への影響を考慮して設定した。

「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に
対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植実施計画書」
(CIT-J003-14 2013年9月17日改訂)より

登録の流れ

1. 当院移植医師と面談

2. 先進医療登録「登録前調査症例報告書」作成
(当院検査入院2~3日)

3. 「膵島移植班」事務局、東北大学病院臨床試験データセンターへ「登録前調査症例報告書」提出

4. 東北大学臨床試験データセンターにて適応判定

5. 「適応判定結果」通知
「適応あり」

6. 先進医療での膵島移植待機
当院定期受診(3ヶ月毎)、検査入院(1年毎)

尚、移植のための入院(約2週間)の後、定期的な受診と検査があります。
(移植前後、移植術後7、14、28、56、75、90、120、150、180、365、730日目)

お問い合わせ
電話:043-261-5171(病院代表)
043-264-3116(地域医療連携室直通)
FAX:043-264-3356(地域医療連携室直通)
受付時間
9:00~16:00(土日・祝祭日・年末年始を除く)

費用について

先進医療で膵島移植を行う場合、現在は国からの補助があり、患者様の負担は健康保険の自己負担のみとなります。加入されている健康保険の種類によりますが、1回あたり約20万円です。
この自己負担額は高額療養費制度が利用できますので、実質負担分はさらに軽減されます。

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