1.2透析と腎移植

透析と腎移植

腎臓移植の適応

腎臓の働きが悪くなると血液中に「老廃物」、「水分」がたまり、命を維持する事が出来なくなってきます。一般的に腎臓の働きが正常状態の10%未満になる と透析が必要とされ、人工透析を行う事で血液中の「老廃物」、「水分」を体外に排出する事ができ、命を維持する事ができます。 透析には以下に示すように2種類あります。

腹膜透析

患者さん自身の腹膜(お腹の臓器をおおっている薄い半透明の膜)を透析膜として利用する方法です。おなかの中にチューブを固定して、透析液をお腹の中に入 れることで時間をかけて老廃物を除去します。患者さん自分自身で透析液を交換するので通院による時間の拘束が血液透析より短いなどの利点がありますが、お 腹の中にチューブを入れておくので合併症として腹膜炎や出口の感染が問題となります。 長い間、腹膜透析を行っていると腹膜の機能が低下してきてしまい、重大な合併症を起こすことがあるので、何年か後には通常は血液透析へと移行することにな ります。

血液透析

患者さんの血液を1度身体の外へ出し、透析装置を用いて老廃物を除去する方法です。基本的には週に3回の通院が必要で、一回の透析に4~5時間かかります。

腹膜透析 血液透析
透析場所 自宅や会社。清潔な場所であれば可能 病院
回  数 毎日1日4回
または毎日夜間に1回
週2~3回 4~5時間
体  調 ほぼ一定 透析前後の差が大きい
食事制限 比較的穏やか 厳しい制限
旅  行 薬剤があれば旅行可能 旅行先の透析施設へ予約を取る必要がある

どちらの方法とも、完全に腎臓の代わりとなることは出来ませんので、不要なもの(尿毒素)が常に身体の中にあることになります。そのため透析を長年続けていくと、合併症が起こりやすくなってしまいます。 透析の詳細については当院血液浄化センターホームページをご覧ください。

腎臓移植とは

腎臓移植は末期腎不全で透析が近々必要になる方、現在透析を行なっている方を対象に提供された腎臓を移植する治療方法です。
腎臓をもらう方をレシピエント、腎臓を提供する方をドナーといい、生きているドナーからの腎臓移植を生体腎臓移植、亡くなったドナーからの腎移植を献腎移植といいます。提供をうける腎臓は1つですが、1つの健康な腎臓でも日常生活には支障がありません。腎臓移植はCKD(慢性腎不全)の根本的な治療と言われています。それは、腎不全になって失った腎臓の働きの全てを取り戻すことができるからです。透析療法では生命を維持することはできても、食事の内容や量の制限がつきまとい、一部の老廃物は除去することはできません。
また腎臓が作り出すホルモンや代謝するビタミンの働きは透析療法では代替できず投薬が必要となります。腎臓移植を受けると、透析から開放されると共に食事や水分制限もなくなるので時間にも気持ちにも余裕ができ、自由に旅行出来たり豊かな生活を送れるようになります。
しかし、拒絶反応(自分の免疫システムが元々他人の臓器である移植された腎臓を攻撃して、障害を与える反応)を抑えるために、一生に渡り免疫抑制剤を飲む必要があります。

生体腎移植

親、兄弟、夫婦など身内の方から1つの腎臓をもらって移植します。ドナーとレシピエントの手術は同時進行で行われます。腎臓も良い状態で移植されるので、多くは移植された腎臓もすぐに働きだします。
移植直後から透析の必要が無くなる場合がほとんどです。提供する側も、十分に検査をして、1つ腎臓をあげても大丈夫であるか確認してから手術を行います。
また、生体腎臓移植では異なった血液型同士でも手術前にレシピエントに特殊な治療を行う事で可能となっています。

 

献腎移植

亡くなった方より提供された腎臓の1つを移植します。摘出された腎臓は速やかに保存搬送され、待機しているレシピエントのもとへ届き、移植が行われます。ドナーの血液型や組織適合性を考慮してレシピエントが決定されます。
こちらを希望される患者様は、日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。
生体腎移植と異なり、移植した腎臓が十分に働きだすまで、数日~2週間程度かかり、一時的な透析が必要となることがあります。

移植と透析の比較

生存率

生存率とは透析患者さんの場合、透析を導入してから亡くなるまでの期間をあらわし、移植患者さんの場合は移植手術を行ってから亡くなるまでの期間をあらわしています。

生活・食事

透析患者さんは週3回4~5時間の透析を通院しながら行うためどうしても透析中心の生活となってしまいますが、移植患者さんは術後、安定すれば月に一回の通院で済むため透析患者さんに比べ生活面の影響は少ないといえます。
また、食事ですが透析患者さんには水分制限や食事制限がありますが、移植患者さんには水分制限はありませんし、食事も特別制限などはありません。

合併症

腎不全に伴う合併症は心不全、脳血管障害、免疫力低下による感染症、発達異常など様々な合併症が起こります。人工透析はこのような合併症を引き起こすすべての原因を除去することはできませんので、どうしても同じような合併症を引き起こしてしまいます。 腎移植では新しい腎臓が働きますのでこれらの問題はすべて解決されることになります。しかし、免疫抑制剤を飲み続けなければならないので、免疫抑制剤の副作用により風邪をひきやすくなったり、治りにくくなったりします。また、感染症にかかりやすくなります。

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